媚薬 2
ロニは無言でジューダスのベッドに腰掛けた。その様子に、ジューダスは心臓が波打つのを感じた。風邪・・なんかじゃない。そのときジューダスは気付いたのだった。自分は恋などしていないはずだった。身に覚えは無かった。だが・・少しずつ、惹かれていたのだ。ロニの、屈託の無い笑顔に。そう確信してから、ジューダスの体はどんどんおかしくなっていった。
「おい、どうした?」
ジューダスは答えることが出来ずに俯いた。体は今にも溶けてしまいそうだった。下半身が熱くなり、服が体に擦れるのでさえ、肌が栗だった。今にも泣き出したいくらいの激情が、ジューダスを襲った。
「おまえ・・・もしかして・・・。」
ロニがジューダスの顔を心配そうに覗き込む。ジューダスの異変に気付いてしまったようだ。ジューダスは唇を噛み締めた。ロニを直視できずに、ますます俯いた。何か言わなくては。そう思って、喉から声を絞り出した。
「・・違う、から・・・。」
もっとはっきり否定しようと思ったのに、甘く掠れた声しか出なかった。
「悪い・・・・。」
ロニが済まなそうに言った。そんなロニに、ジューダスはかっとなって言った。
「だから、僕は何ともない!」
ふいに、ロニがジューダスの毛布を剥ぎ取った。
「何するんだ!」
いきなり冷気が肌を襲い、思わずジューダスは叫んだ。体を隠すものが無くなり、ジューダスは焦った。それから、ロニは大胆にも服の上からジューダスの下半身に触れたのだ。
「・・やっ・・・!」
布越しとはいえど、ジューダスの全身にしびれのような感覚が襲った。
「ほら・・やっぱりお前、好きな奴ができちまったんだろ?」
いつのまにか、ロニはジューダスの上に馬乗りになっていた。ジューダスはロニが何をしようとしているのか分からず、混乱し、おびえた。
「い・・や・・!離して!離し・・・!」
ジューダス自身、何におびえているか分からなかった。けれど、ジューダスの瞳からは恐怖から来る涙が零れ落ちた。そんなジューダスの様子に、ロニは優しく言った。
「悪い・・ジューダス。・・でも、悪いようにはしねぇから。お前、このままじゃ辛いだろ?俺がなんとかしてやるから。痛いことはしねぇし、最後までヤらないから。」
そして優しく髪を撫でてやると、ジューダスは急におとなしくなった。しかし、さすがにロニの手が服を脱がそうとすると、ジューダスの体は強張った。その度に、ロニは安心させるようにジューダスの髪を撫でてやった。
「・・や、・・ぁ・・・・!」
ロニがジューダスの胸の突起を口に含んだ。それから、ロニはジューダスの下半身に手を伸ばした。軽く扱いてやると、ジューダスの体がびくんと反応した。
「・・ロニ!・・あ、ぁ・・・・ああっ!」
自分自身でさえ触れたことの無い場所への刺激に、ジューダスは混乱した。こんなことは・・まったく初めてだった。
「くぅ、う・・・あ、・・・ああっ・・。」
恥ずかしくて涙が止め処なく零れ落ちた。ロニに、自分の裸を見られて・・その上こんなに恥ずかしいことをされているのだ。ロニは、一体どう思っているのだろうか?自分に、同情しているのか・・。
ふいに、ロニはジューダスのそれから手を離した。
「きゃ!・・あっ・・いや・・それは嫌ぁ!!」
突然、ロニがジューダスのそれを咥えたのだ。驚いていくらか暴れたが、やんわりとロニに押さえつけられてしまった。
「ふぁ・・・う・・・。」
次第に、抵抗が出来なくなったしまう。薬によってこんな体質になってしまったジューダスに、抵抗など出来るはずも無かった。自分のそれを包む熱い舌が、心地よくて仕方なかった。そのうちに、ジューダスの体は絶頂を迎えようとしていた。
「ロ、・・ロニ・・・!あぅ・・っ・・!も・・離し・・・」
ジューダスはそれを必死でロニに伝えようとした。ロニの口の中でイってしまうのは嫌だった。けれども、ロニは口を離そうとはしない。ジューダスが震える手でロニの頭を押し返そうとしても、びくともしなかった。それどころか、ロニはジューダスの手をやんわりと退けようとさえした。そして、ジューダスはロニが自分の口内でジューダスがイくのを望んでいることに気がついた。けれども・・
(嫌だ・・・!そんな恥ずかしいことをしてしまったら、僕は一生ロニに顔を見せられなくなってしまう・・!)
霞みかけた意識の中で、ジューダスは自分の限界が近いことに気がついた。
「っ・・やぁぁっ!!」
ジューダスは最後の力を振り絞ってロニの頭を突き放した。・・と同時に、ジューダスはイってしまったのだ。
当然の如く、ジューダスはロニの顔に出してしまったのだ。
「ろ・・に・・!」
ロニは軽く手でそれを拭い、唇の端に着いた白濁を舐めた。なにか、すごく淫らな気がした。その様子に、まるでロニが大人の男のように見えて___実際はそうなのだが___ジューダスは身震いした。今まで考えたこともなかったが、ロニは大人の男性なのだと言うことが理解させられた。つまりは・・・ロニはこういうことは慣れているのだ。相手は女性だと思うが。_____当たり前かもしれない。彼はもう、大人なのだから。
「ロニ・・。」
ジューダスは謝罪の意味を込め、ロニの名前を呼んだ。ロニがなんと言うか怖かったが、思いのほかロニは気にしていない様子で言った。
「いいって。それより・・平気か?」
ジューダスは息を詰めた。平気とは決して言えなかった。まだ・・体が満足していないのだ。新しい涙が、ジューダスの瞳から零れた。
「悪いな・・ジューダス・・・。」
その様子に気付いたらしく、ロニは優しく言った。ジューダスの髪を撫でてやり、ジューダスをゆっくりと押し倒した。そして、また先ほどと同じ行為を繰り返した。
ジューダスはもしかしたら、ロニが自分を抱くかもしれないと頭の片隅で思っていた。しかし、ロニは優しくジューダスの体を満足させてやるだけだった。そのうちに、ジューダスの瞼はとろんと重くなってきた。薄れ行く意識の中でジューダスはロニの名前を呼んだ。すると、ロニもジューダスの名前を呼んだ。目が霞み、ロニの顔は見えなかったが、ロニの顔がだんだん近づいてきた。そして・・唇が触れたのを感じた。
ジューダスが目が覚めたときにロニはベッドにはいなかった。ジューダスはきちんと服を着ていたので、昨夜のことは夢かと思ったが、髪は濡れているし体には倦怠感が残っている。どうやらロニがお風呂に連れて行き、服を着せてくれたらしい。時刻は、まだ六時だった。
(ロニはどこへ行ったのだろう?)
探しにいこうかと考えたが、あまりに体がつらく、億劫だったので二度寝をすることに決めた。
なぜだろうか・・心が安らかだった。おそらく、あのキスのせいだと思う。優しいキスだった。ジューダスはそっと自分の唇に触れてみた。まだ・・感触が残っている。
「ロニ・・。」
そして、あらためて自覚したのだ。
(僕はやっぱり、ロニのことが・・・)
ロニは、宿の廊下を歩いていた。表情は硬く、思いつめたように見える。そして、彼はとある部屋の前で立ち止まった。その部屋は・・ハロルドの部屋だった。
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続きます・・。
ロングなストーリーになるやもしれない・・ちなみにまだ序章のようなものです。
これからどんどんジューダスがかわいそうになっていく・・予定。
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